もう走れない? 天気のせいかもしれません

気温24~28℃、相対湿度40~60%、風速0.15~0.5m/sが人体にとって最も快適な運動環境であり、ランニングエコノミーへの影響が最も少ないことを述べました。しかし、実際の運動時には快適な環境を実現することが難しい場合もあります。では、このような天気が身体能力にどのような影響を与えるのでしょうか。これらを知ることで、ユーザーは1回ごとの運動のパフォーマンスを総合的に評価することができます。


PART. 1 気温が運動に与える影響

気温は人体にとって最も敏感な気象要因です。深部体温が一定であることは、正常な生理機能や良好な運動パフォーマンスを維持するための前提条件ですが、気温の変化によって体温が変動することがあります。

高温環境

35℃以上の高温環境下では、人体の深部体温が上昇し、グリコーゲンの消耗が早くなるため、筋肉労働に必要なエネルギーの蓄えが空(から)になってしまいます。体内のエネルギー消費量が増えると、中枢神経の疲労が起こりやすくなり、筋肉の可動性も著しく低下します。 研究によると、気温が12℃を超えて10℃上昇するごとに、マラソンの平均的な完走時間が1.5〜3%延びます。例えば、通常の完走時間が3時間30分のマラソンランナーの場合、気温が10℃上昇するごとに、完走時間がさらに3〜6分延びます。

これに加えて、高温環境で高強度のトレーニングを行うと、アスリートは大量の汗をかき、体内の水分が減り、場合によっては脱水症状を起こし、最大酸素摂取量が減少して、人体が正常に酸素を利用してエネルギーを供給することができなくなる可能性があります。

このため、高温環境でトレーニングを行うときは、ランナーはトレーニングの強度をコントロールし、タイムリーに水分補給を行うように注意する必要があります。 しかし、トレーニングの距離や時間が長い場合、特定の手段(スポーツドリンクやエナジージェルなど)でエネルギーを補給しても、エネルギーの損失速度に追いつくことができない可能性が高いことに注意してください。そのため、気温が高すぎる気象条件では、長距離の持久運動はお勧めできません。

低温環境

どちらかというと、低温は人体への悪影響が少ないと言われています。低温環境下でのラントレーニングは、心肺機能や有酸素持久力の向上に寄与するとともに、脂肪の減少にも好影響を与えます。しかし同時に、低温環境は人体の筋肉の粘性を増加させ、筋肉の弾力性や伸展性を低下させるため、身体のコントロール機能が低下し、肉離れが起こりやすくなります。


PART. 2 湿度が運動に与える影響

湿度は空気の乾燥度を表すもので、主に人体の発汗、体熱の放出、水分や塩分の代謝に影響を与えます。持久運動に適した湿度は、一般的に40~60%と言われています。気温と同様に、湿度が高すぎくても低すぎても、アウトドアスポーツには悪影響を及ぼします。

高湿度

高温環境では、湿度が人体の正常な冷却系統に影響を与え、深部体温に影響を与えます。 通常、ランナーがラン中に汗をかくと、蒸発によって体温を下げることができます。しかし、空気の湿度が高いと、蒸発が遅くなり、体温を下げる力が弱くなります。 その結果、高湿度の環境では、体感温度が実際の温度よりもはるかに高くなることがあります。例えば、相対湿度が80%の場合、実際の温度が30℃であっても、体感温度は36℃になることがあります。この過剰な熱により、人体の筋肉系統や冷却系統が高強度の動作状態になり、不快感が生じます。

体温を下げる力に加えて、気温が18℃を超えると、ランナーの心拍数や最大酸素摂取量は、湿度の上昇にも影響されます。 心拍数は、気温が高いほど加速し、湿度が高いほど受ける影響が大きいという研究結果があります。また、比較実験では、低湿度・高温環境下では人体の最大酸素摂取量が5.7%減少し、湿度80%では12%になるという数字が出ています。

低湿度

低湿度による運動への影響は、主に体内水分への影響です。湿度の低い乾燥した環境では、人体からの水分の蒸発量が増えます。それが最も顕著に現れるのが、ランナーの口内の乾燥です。そのため、低湿度環境での運動では、特に水分補給が重要となります。 また、空気中の湿度が低すぎると、一部の細菌やウイルスが空気中に拡散しやすくなります。


PART. 3 風力と風向きが運動に与える影響

風力と風向きは、ランニング愛好者にとってはおなじみの気象要因でもあります。キプチョゲ選手は以前「INEOS 159」に挑戦した際に、数10名のトップランナーをペーサーとして招き、フォーメーションを絶えず変えながら風の抵抗の影響を最小限に抑えました。

1971年にはすでに、L.G.Pughが風力がエネルギー消費に及ぼす正の相関関係の存在 に関する研究を行っています。それによれば、強風の環境で走ると、微風の環境で走る場合よりも酸素消費量が多くなります。その後、研究者たちが5000m走のテストを行ったところ、風に逆らって走った場合の酸素消費量は通常の場合より8%多く、風力が5マイル/時から10マイル/時になると酸素消費量は4倍になることがわかりました。ここから、エネルギー消費量が同じであれば、風力が強いほどランニングスピードに対する影響が大きくなることが推察されます。

追い風の中で走ることは、ランナーに良い影響を与えます。ある実験では、風速がペースと同程度の場合、追い風の中を走るとエネルギー消費量が減少することがわかりました。ただし、追い風がペースに与えるプラスの効果は、向かい風がペースに及ぼすマイナスの効果よりもはるかに低いものでした。同じランナーでも、向かい風の時は12秒/マイルペースが落ち、追い風の時は6秒/マイルしかペースが上がりませんでした。

酸素消費量やペースへの影響に加え、風のために皮膚が露出すると体の表面温度が下がります(5~10℃)。そのため、風の強い日にランをするときは、体温を保つとともに風の害を受けないよう皮膚を守るためのウェア選びにも気を配る必要があります。


まとめ

上記の主要な気象要因のほかにも、雨や雪、気圧なども程度の差こそあれ人体に影響を与えます。敵を知り、己を知ることで、さまざまな天候の変化にも余裕をもって立ち向かうことができます。

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